朝露と艶やかさ
2019-07-11 カテゴリ:院長雑記
朝方、雨が上がったので庭に出たら、食用のユリ(コオニユリ)が咲き狂っていた。朝露に濡れたその花びらの美しさに、思わずシャッターをきる。
生命は次に命を残そうと必死だ。極限までたくし上げたスカートの中から、長い脚がのぞいている。
先端には雄しべと雌しべ。触れ合いたくて仕方がないのに、お互いにそっぽを向くような関係。でも、この配置が絶妙で、風が吹くと、何かに触れられると、雄しべの花粉が、雌しべに受粉するようになっている。現に、僕が確認したときには、すでに成功していた。
知ってる人も多いだろうが、ユリの花粉は、とてもねっとりとしている。密度が濃いので、服に着くと取れなくて大変だから、結婚式などでは、飾るときにすでに雄しべの先端を取られていたりする。縁起的には僕は反対だな。
鹿児島甑島の芋焼酎に百合というのがあるが、この酒のねっとりとした感じは、花粉を触った手の感触を彷彿とさせる。今晩飲むかな、そんなことを思いながら、数枚写真を撮っていたら、受粉を手伝えと言わんばかりに、僕のジャージにもたっぷりと花粉が塗りつけられていた。
夏の朝、生命の艶やかさを見た。